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仮想通貨(暗号資産)の税金のもとになる「所得」の計算方法を、国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」の計算例で、総平均法と移動平均法の両方について1行ずつ計算し直しました(2026年10月3日確認)。
■暗号資産の所得の計算式
国税庁のFAQでは、暗号資産の売却による所得は、原則として雑所得とされ、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します(国税庁FAQ)。必要経費の中心になるのが、売った暗号資産の取得価額(譲渡原価)です。
暗号資産の所得(売却の場合)
売った金額 − 売った暗号資産の取得価額(譲渡原価) − その他の必要経費
所得
取得価額は、同じ暗号資産を何回かに分けて買っていると、「どの時の値段で買った分を売ったのか」が分かりません。そこで、総平均法か移動平均法のどちらかで、1枚あたりの取得価額を決めることになっています。
| 方法 | 1枚あたりの取得価額の出し方 |
|---|---|
| 総平均法 | 1年間に買った金額の合計 ÷ 1年間に買った数量の合計(前の年から持ち越した分も含める) |
| 移動平均法 | 買うたびに、そのとき持っている分の金額の合計 ÷ 数量で、平均単価を出し直す |
国税庁FAQ 2-4の説明を当サイトが要約
■国税庁の例で、実際に計算する
この例の出典
国税庁FAQ「2-4 暗号資産の譲渡原価」の例です。1年の間に、ビットコインを3回買い、2回売りました。売買手数料は含めていません。
| 日付 | 取引 | 数量 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 3月1日 | 購入 | 4 BTC | 1,845,000円 |
| 6月20日 | 購入 | 2 BTC | 1,650,000円 |
| 7月10日 | 売却 | 2 BTC | 2,400,000円 |
| 9月15日 | 購入 | 0.5 BTC | 542,800円 |
| 11月30日 | 売却 | 3 BTC | 2,895,000円 |
1年間の購入は6.5 BTC・4,037,800円、売却は5 BTC・5,295,000円、年末に残ったのは1.5 BTC
総平均法で計算する
1年間の平均単価を出す
4,037,800円 ÷ 6.5 BTC = 621,200円
年末に残った分の評価額を出す
621,200円 × 1.5 BTC = 931,800円
売った分の取得価額(譲渡原価)を出す
4,037,800円 − 931,800円 = 3,106,000円
総平均法での所得(当サイトの計算)
5,295,000円 − 3,106,000円
所得 2,189,000円
譲渡原価の3,106,000円は、国税庁FAQの答え(総平均法 3,106,000円)と一致しました。
移動平均法で計算する
| 日付 | 取引 | その時点の平均単価 | 売った分の取得価額 |
|---|---|---|---|
| 3月1日 | 4 BTC 購入 | 461,250円 | - |
| 6月20日 | 2 BTC 購入 | 582,500円 | - |
| 7月10日 | 2 BTC 売却 | 582,500円 | 1,165,000円 |
| 9月15日 | 0.5 BTC 購入 | 638,400円 | - |
| 11月30日 | 3 BTC 売却 | 638,400円 | 1,915,200円 |
当サイトの計算。買うたびに平均単価を出し直し、売ったときはその単価を掛けます
移動平均法での所得(当サイトの計算)
5,295,000円 − 3,080,200円
所得 2,214,800円
譲渡原価の3,080,200円は、国税庁FAQの答え(移動平均法 3,080,200円)と一致しました。
2つの方法の差
| 方法 | 譲渡原価 | 所得 |
|---|---|---|
| 総平均法 | 3,106,000円 | 2,189,000円 |
| 移動平均法 | 3,080,200円 | 2,214,800円 |
この例では、移動平均法のほうが所得が25,800円多くなりました(当サイトの計算)。どちらが多くなるかは、買った時期と値段によって変わります
編集部
■計算の方法を選ぶ手続き
届け出なければ、総平均法
国税庁のFAQでは、計算の方法は暗号資産の種類ごとに選び、初めてその暗号資産を取得した年分の確定申告の期限(原則として翌年3月15日)までに、「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を税務署に出すとされています。届け出がない場合、個人は総平均法になります。
方法を変えるときは、承認の申請が要る
届け出た方法を変えたいときは、変えようとする年の3月15日までに「所得税の暗号資産の評価方法の変更承認申請書」を出して、承認を受ける必要があります(国税庁FAQ 2-6)。
計算で迷いやすいところは、国税庁の資料に答えがあります。
- ✔ 計算の方法は、暗号資産の種類ごとに選ぶ(届け出なければ総平均法)
- ✔ 暗号資産どうしの交換や、暗号資産での買い物も所得の計算の対象
- ✔ 取引所の年間取引報告書と、国税庁の「暗号資産の計算書」で計算できる
■計算するときの注意点
種類ごとに、別々に計算する
ビットコイン、ドージコイン、柴犬コインのように種類が違えば、平均単価も別々に出します。草コインをいくつも持っている方は、銘柄の数だけ計算が増えます。国内で扱いのある銘柄は国内の取引所で買えるアルトコインの一覧で確かめられます。
暗号資産どうしの交換も、計算に入る
国税庁のFAQでは、暗号資産どうしの交換や、暗号資産で商品を買ったときも、所得の計算の対象とされています。日本円に戻していなくても、交換した時点の価額で計算します。決まりの全体は仮想通貨の税金の記事にまとめています。
複数の取引所の取引を、まとめて計算する
同じ種類の暗号資産を複数の取引所で売買している場合は、取引所ごとではなく、まとめて計算します。取引所から届く年間取引報告書を、すべてそろえることから始めます。
■計算を進める手順
年間取引報告書をそろえる
使ったすべての取引所から、1年分の報告書を受け取ります。
種類ごとに、総平均法か移動平均法で取得価額を出す
国税庁の暗号資産の計算書(総平均法用・移動平均法用)を使えます。
所得を合計し、申告が必要かを判断する
会社員などで給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告が要らない場合があります。住民税は別です(20万円以下のときの記事)。
■取引が多い方は、損益計算ツールも
取引所が複数ある、銘柄が多い、交換が多い、という方は、損益計算ツールを使うと、上の計算を自動で進められます。クリプタクトは総平均法・移動平均法の両方に対応しています(詳しくはクリプタクトのレビュー)。
【料金・基本情報】
| フリー | 0円(取引が50件を超えると、損益の計算結果は表示されない) |
|---|---|
| ベーシック | 年6,600円(300件まで) |
| 更新と返金 | 有料プランは1年ごとに自動更新。決済後の返金はなし |
ツールを使わなくてもよいかもしれない方
- 取引所が1か所で、売買が年に数回の方(国税庁の計算書で足ります)
- 銘柄が少なく、この記事の計算を自分でたどれる方
- ツールの計算結果も、最後はご自身で確かめる必要があります
■暗号資産の所得の計算について、よくある質問
Q. 総平均法と移動平均法は、どちらが得ですか?
A. どちらが所得が少なくなるかは、買った時期と値段で変わり、決まった答えはありません。国税庁の例では、移動平均法のほうが所得が約2.5万円多くなりました。
Q. 何もしないと、どちらの方法になりますか?
A. 個人は、届け出がなければ総平均法になります(国税庁FAQ)。
Q. 取引所の手数料は、計算に入れられますか?
A. 国税庁のFAQには、年間取引報告書に「支払手数料」の欄があることが書かれています。どの手数料をどう扱うかは、取引の内容によって変わるため、税務署や税理士にご確認ください。
Q. 損失が出たら、ほかの所得と相殺できますか?
A. 今の制度では、暗号資産の雑所得の損失は、給与所得など他の所得と差し引けません(国税庁FAQ)。
■【まとめ】所得は「売った金額 − 取得価額」、取得価額は2つの方法で
暗号資産の所得は、売った金額から取得価額(譲渡原価)などを引いて出します。取得価額は総平均法か移動平均法で決め、届け出がなければ総平均法です。国税庁の例を計算し直すと、どちらの答えもFAQと一致し、所得には約2.5万円の差が出ました。
まずは年間取引報告書をそろえ、国税庁の計算書で1種類だけ計算してみると、全体の手間の見当がつきます。
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