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テゾス(XTZ)は、ブロックチェーン本体のルールを、保有者を代表する人たちの投票で書き換えていく仕組み(自己修正)を持つチェーン「Tezos」のコインです。Tezosの公式ドキュメントでは、コインは「tez」と呼ばれ、XTZやꜩとも書かれます。ブロックの間隔は、2021年の30秒から2026年の6秒まで縮まりました。この記事では、将来性を考える材料になる「自己修正・ベイキング・発行の調整」を公式の資料で順に読み、そのあとで値動きと国内の取扱いを確かめます。
■テゾス(XTZ)とは?tezとTezosの関係
公式ドキュメントによると、Tezosのコインはtezで、内部ではその100万分の1の「mutez」を単位に残高を数えています。ウォレットなどの画面では、小数点を6桁ずらして、tezで表示されます。
アドレスの種類は2つあります。公式ドキュメントによると、通常の口座(暗黙のアカウント)はtz1〜tz4で始まり、スマートコントラクトのアドレスはKT1で始まります。口座は、最初の取引をするまで「公開前(unrevealed)」の状態で、tezを受け取ることはできますが、一部のサービスからは見えないことがあります。
■テゾスの仕組みは?ベイカーとTenderbake
ブロックを作る作業を、Tezosでは「ベイキング」、担う人を「ベイカー」と呼びます。公式ドキュメントによると、ベイカーは未処理の取引を確かめ、まとめて署名し、ブロックとして提案します。ほかのベイカーが出したブロックを検証するのも役目です。ブロックを作る権利は、1つのブロックと1つのラウンドごとに、プロトコルが選んだ1人に割り当てられます。その人が時間内に出さないときは、次のベイカーが新しいラウンドを始めます。
合意の方式は「Tenderbake」です。Octezの公式ドキュメントは、Tenderbakeを、古典的なBFT型のアルゴリズムであるTendermintを下敷きにしたプルーフ・オブ・ステーク(保有量に基づく方式)と説明しています。ベイカーは「事前承認(preattestation)」と「承認(attestation)」の2回の投票を行い、1つのレベルあたり7,000ある投票枠のうち、3分の2にあたる4,667枠以上が集まると決まります。
公式ドキュメントに書かれた合意の数字
| ブロックの間隔(通常時) | 6秒 |
|---|---|
| 最終確定(ファイナリティ) | 取引は1回の確認で確定、ブロックは2回の確認で確定 |
| 1サイクルのブロック数 | 14,400ブロック(当サイトの計算では約1日) |
| 合意に必要な投票枠 | 7,000枠のうち4,667枠以上(3分の2) |
出典:Octez「Consensus」。通常時は最初のラウンドで決まり、遅れるとラウンドごとに3秒ずつ延びます
ベイカーになるには条件があります。公式は、ベイカーが「ベイキングパワー」で6,000tez以上を持つことを求めています。ベイキングパワーには、自分で預けたtezと、ほかの人が預けたtezが数えられます。預けていない(ステーキングしていない)tezは、預けたtezの3分の1の重みで数えられます。
ゆうと
■テゾスのステーキングは?委任との違いと注意点
保有者がベイカーを支えるやり方は2つあります。公式ドキュメントによると、「委任(delegating)」はtezを自分の手元に置いたまま、ベイカーの投票力とベイキングの力に足す方法で、ベイカーが不正をしても罰は受けません。一方「ステーキング」は、tezを一時的に固定する方法で、報酬は仕組みから自動で配られ、いまは報酬を得る主な方法とされています。
| 項目 | ステーキング | 委任 |
|---|---|---|
| ベイキングパワーへの上乗せ | 100% | 33% |
| 投票力への上乗せ | 100% | 100% |
| tezの状態 | 固定(使えない) | 手元で自由に使える |
| 報酬の受け取り | 直接受け取る | ベイカーが手動で渡す |
| スラッシング(罰則) | 受ける可能性がある | 受けない |
出典:Tezos公式ドキュメント「Bakers」(2025年4月9日更新のページ)。委任とステーキングの比較表を、当サイトが訳して一部の項目だけ載せました
固定を解くには、取り消しの申請(アンステーク)が要ります。公式ステーキングのページによると、待ち時間は「最大4日(3サイクルと現在のサイクルの残り)」です。ステーキング中にベイカーを替えると、前のベイカーに預けていた分のアンステークが自動で申請されます。また、ベイカーが規則を破ると、預けたtezは持ち分に応じて没収(スラッシング)されうる、と説明されています。
なお、公式のステーキングのページは、報酬の率の数字を載せていません。見込みの数字はブロックエクスプローラーで確かめるよう案内されているため、当サイトでは利回りを書いていません。
■テゾスの発行は?「自己修正」のたびに変わった数字
Octezの公式ドキュメントによると、tezの新規発行は「適応型発行(Adaptive Issuance)」で調整されます。ステーキングされたtezの割合(ステーキング比率)が高いほど、新しく発行される量が減る仕組みです。目標のステーキング比率は50%で、48〜52%の範囲が目安とされています。比率が48%を下回ると発行率が上がり、52%を上回ると下がります。
発行率の上下限は、段階的に広げられます。公式は、最初の下限と上限が4.5%と5.5%、最終的な下限と上限が0.25%と10%と説明しています。ステーキング比率が50%以上のときの上限は1%まで下がります。いまの発行率の具体的な数字は、読んだページには書かれていません。
供給量について、CoinGeckoの総供給は約11.2億XTZ、流通量は約11億XTZ(総供給の98.2%)です。CoinGeckoには上限の数値が載っておらず、読んだ公式ドキュメントにも上限の記載はありません。発行率が仕組みで変わるため、枚数は時間とともに増えます。
■テゾスの自己修正(ガバナンス)はどう進む?
Tezosの特徴は、プロトコルの更新を、ネットワーク自身の投票で決めることです。公式ドキュメントによると、投票できるのは「デリゲート」(ベイカーとして登録した口座)で、票の重みは、預けられたtezの量で決まります。
提案期間
デリゲートが、ソースコードのハッシュで示した提案を出します。1人あたり最大20件まで出せ、提案を出すこと自体が投票になります。
検討(Exploration)期間
最も票を集めた提案に、賛成・反対・棄権で投票します。通るには、投票した票のうち賛成が80%超(棄権は数えません)であることと、定足数を満たすことが要ります。
クールダウン期間
投票のない待ち時間で、テストネットでの試験や、インフラの準備にあてられます。
推進(Promotion)期間
メインネットに採用するかを決める最終投票で、検討期間と同じ基準です。
採用(Adoption)期間
開発者やベイカーが準備するための待ち時間です。終わるとメインネットで自動的に新しいプロトコルが有効になります。
公式によると、5つの期間はそれぞれ14サイクル(約14日)です。途中で否決されなければ、当サイトの計算では約70日(5×14)で1回の更新が終わります。定足数は過去の投票に応じて動的に変わると説明されていますが、公式のページには具体的な数字がありません。
公式の更新履歴を見ると、2019年のAthensが最初の自己修正で、その後も毎年のように更新されています。主なものを、公式の記述に沿って並べます。
| 更新(年月) | 公式が挙げる主な変更 |
|---|---|
| Athens(2019年5月) | 最初の自己修正。ガス上限の引き上げと、ベイキングの最小単位の引き下げ |
| Granada(2021年8月) | 30秒ブロックの合意方式と、リクイディティ・ベイキング |
| Ithaca(2022年4月) | Tenderbakeの導入。素早い最終確定と、6,000tezの最小量 |
| Mumbai(2023年3月) | スマートロールアップの導入。ブロックを30秒から15秒に |
| Paris(2024年6月5日) | 10秒ブロック、データ可用性レイヤー、適応型発行とステーキング |
| Quebec(2025年1月20日) | 8秒ブロック |
| Rio(2025年5月1日) | 1日サイクル、ベイカーの停止への対応の高速化 |
| Seoul(2025年9月19日) | 標準のマルチシグ口座、tz4(BLS署名)口座をまとめた承認 |
| Tallinn(2026年1月24日) | 6秒ブロック |
| Ushuaia(2026年6月30日) | データ可用性レイヤーの帯域を10MB/sに。一部の機能は本番では有効にならない |
出典:Tezos公式ドキュメント「History of amendments」。公式の一覧から、当サイトが抜粋して訳しました。公式は、Ushuaiaの3機能(WASM PVM V6・プロトコル内の流動ステーキング・耐量子のtz5鍵)は機能フラグの裏にあり、メインネットでは有効にならないと注記しています
通貨の発行や手数料の決まりから、ブロックの間隔、合意の方式まで、プロトコルの更新で何度も変わってきた、というのがTezosの履歴です。更新が「投票で決まる」ことは強みであり、決まった方向が保有者の期待どおりになるとは限らない点でもあります。
■テゾスは何に使われる?スマートコントラクトとロールアップ
公式ドキュメントによると、Tezosのスマートコントラクトは、低水準の言語Michelsonで書かれ、高水準の言語から変換して作ることもできます。コントラクトは、残高、データ(ストレージ)、外から呼べる入口(エントリーポイント)からなり、一度デプロイしたあとはコードを変えられません。外部のAPIや他のコントラクトのストレージを読むことはできません。
処理を別の層に出す仕組みが「スマートロールアップ」です。公式ドキュメントによると、メインのチェーン(レイヤー1)とは別の環境で取引を動かし、より多くの取引とデータを扱えます。ロールアップのノードは、60ブロックごとに状態のハッシュ(コミットメント)を出します。ほかのノードが食い違うコミットメントを出したときは、どこで食い違うかを突き止める「反駁ゲーム」で決着をつけ、誤った側は罰せられます。正直なノードが1つあれば安全が保てる、というのが公式の説明です。コミットメントを出すノードは、10,000tezの保証金を預けます。異議を申し立てる期間は、メインネットで最大2週間です。
公式は、この仕組みを使う例として、EVM(イーサリアム向けのプログラム)をTezos上で動かす「Etherlink」を挙げています。
また、公式ドキュメントによると、「データ可用性レイヤー(DAL)」は、ロールアップに追加のデータ帯域を与えるための、別のP2Pネットワークです。ベイカーのDALノードがデータを受け取り、取得できることを承認(アテステーション)します。Rio以降は、割り当てられたシャード(分割データ)の64%以上を承認したベイカーに、DALの報酬が出ます。
■テゾスの弱みと注意点は?
■テゾスのチャートは?1年で約52%下げた
チャート:TradingView(COINBASE:XTZUSD)
同じ1年で、ビットコインは円建てで約27.6%下がっています。テゾスの下げはその1.9倍です。月ごとの日次の値は、次のように動きました。
| 月 | 日次の値の範囲 |
|---|---|
| 2025年11月 | 76〜109円 |
| 2025年12月 | 68〜81円 |
| 2026年1月 | 78〜98円 |
| 2026年2月 | 60〜76円 |
| 2026年3月 | 54〜70円 |
| 2026年4月 | 54〜62円 |
| 2026年5月 | 49〜63円 |
| 2026年6月 | 34〜52円 |
| 2026年7月 | 33〜41円 |
| 2026年8月 | 31〜38円 |
| 2026年9月 | 34〜57円 |
| 2026年10月(27日まで) | 44〜53円 |
テゾスの月別の日次の値(CoinGecko・円建て・日本時間9時ごろ。2026年10月27日15時45分ごろ取得。2025年10月28〜31日は87〜91円)
8月12日に約31円まで下げたあと、9月11日に約39円、9月25日に約53円まで上がり、10月25日には約47円でした。こうした上下の理由は、当サイトでは確かめられていないため書いていません。
■テゾスの最高値はいくら?今の値段との距離
CoinGeckoの円建ての記録では、過去最高値は2021年10月4日の約1,013円です。今の値段は、そこから約96%低い水準で、最高値に並ぶには今の約23.3倍の値段が要ります。
■テゾスはどこで買える?国内の取扱い
金融庁の暗号資産交換業者の登録一覧(2026年9月1日現在)で、XTZを取扱い対象に載せている登録業者は、bitFlyer、オーケーコイン・ジャパン、マーキュリー、Binance Japanの4社です。当サイトが公式ページで確かめた範囲では、GMOコインの取引所(板)の取扱銘柄にXTZはありません(2026年10月27日確認)。SBI VCトレードとコインチェックの公式ページでは、XTZの記載を見つけられませんでした。
| 業者 | 金融庁の一覧(XTZ) | 公式 |
|---|---|---|
| bitFlyer | 取扱い対象に記載 | 公式サイト |
| オーケーコイン・ジャパン | 取扱い対象に記載 | — |
| マーキュリー | 取扱い対象に記載 | — |
| Binance Japan | 取扱い対象に記載 | — |
金融庁の登録一覧(2026年9月1日現在)の記載を載せました。販売所か取引所(板)か、手数料や最小数量は、当サイトでは各社の公式ページで確かめられていません。口座を作る前に、各社の公式ページで取扱いを確かめてください
扱う会社を確かめる
上の表の会社の公式ページで、XTZの取扱いと、販売所か取引所(板)か、最小の取引数量を確かめます。
送るときは先に確かめる
ほかの会社やウォレットへ送る予定があるときは、送り元が出庫に対応しているか、送り先がXTZの入金に対応しているかを、先に確かめます。送り方は出金・送金の記事にまとめています。
税金を考える
売買や交換で損益が出ることがあります。考え方は仮想通貨の税金の記事で、ステーキング報酬の扱いはステーキングの税金の記事で整理しています。
■テゾスについてよくある質問
Q. テゾスの将来性は?
A. 公式の資料から確かめられる材料は3つです。更新の投票が今後も続き、どの方向に決まっていくか、スマートロールアップ(Etherlinkなど)が使われていくか、適応型発行でステーキング比率が目標の50%に近づくか、です。価格の先行きは、当サイトでは予想していません。
Q. テゾスのステーキングとは?
A. tezを固定してベイカーを支え、報酬を受け取る仕組みです。固定を解くには取り消しの申請が要り、待ち時間は最大4日です。報酬の率は公式のページに載っていないため、当サイトでは書いていません。
Q. テゾスの発行枚数は?
A. CoinGeckoの総供給は約11.2億XTZです。適応型発行によって、新しいtezが出ていきます。上限の数値は、読んだ公式ドキュメントに書かれていません。
Q. テゾスの最高値はいくら?
A. CoinGeckoの円建てでは、2021年10月4日の約1,013円です。
Q. テゾスのチャートは、どこで見られますか?
A. この記事の上のほうに、米ドル建てのチャートがあります。円建ての値は、CoinGeckoや各社の画面で確かめられます。
Q. テゾスはどこで買えますか?
A. 金融庁の登録一覧では、bitFlyer、オーケーコイン・ジャパン、マーキュリー、Binance JapanがXTZを取扱い対象に載せています。取扱いの形は各社の公式ページでご確認ください。
■【まとめ】テゾスは、投票で変わる仕組みの履歴を押さえる
テゾスは、プロトコルの更新を保有者の投票で決めてきたチェーンです。ブロックの間隔は30秒から6秒になり、発行は適応型に変わりました。値段はこの1年で約52.3%下がっているため、持つ場合は、大きく動いても暮らしに響かない額の範囲で考えるのが一案です。
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この記事は、公表された数字・公開データ・過去の値動きをもとに当サイトの見方をまとめたもので、特定の売買をおすすめするものではありません。見方は記事の時点のもので、相場の先行きを保証するものではありません。暗号資産は値動きが大きく、元本を割り込むおそれがあります。お取引はご自身の判断と責任で行ってください。
